ある夜のサーフィン談議:シェイパーと乗り手のコミュニケーション

123です。

2021年12月某日、ある食事の席に参加させてもらう機会をいただきました。

 

私以外のメンバーを客観的にみると、福岡のレジェンドサーファー、ドメスティックブランドのシェイパー、JPSAプロサーファー、NSA全日本チャンピオン。

これってなかなかレアな場なのでは…。

終わってみると、この夜に聞かせていただいたお話は私のサーフィン人生に影響する濃い内容でした。

ゆえについついお酒もすすみ、酔いも回って記憶もうっすら。

なんとかブログに残すためにとスマホのメモにパワーワードを残すも、次の日に見るとしっかり思い出せない(汗)

せっかくのこの貴重な体験を忘れることなく残しておくために、酔い記憶を呼び起こしながら備忘録記事にいたしますm(__)m

 

今回のメンバー

この会のメンバーは、

・福岡サーフィン界のレジェンドで私のBOSS

・ドメスティックサーフボードブランドでシェイプしているONOさん

・JPSA女子プロロングボーダーの58さん

・NSA全日本チャンプ経歴ある女子ロングボーダーのACOさん

そして私のサーファー5名。

 

今回、初の来福というONOさんの歓迎会ということで、会話はもちろんONOさんを中心。

大きな体格とは裏腹に、実は飲めないというONOさん。

以前からメッセージのやり取りはありましたが、私はこの日が初対面。

文面から感じた通り、とても話しやすく柔らかいお人柄。

それでも、シェイプのお話などからはしっかりとした職人の熱が伝わってきます。

 

 

58さんとACOさんは、今年に入ってONOさんからロングを削ってもらっていてボードのフィードバックや性能のお話。

お二人ともボードの調子がすこぶる良さそう。

ONOさんボードの調子絶好調のACOさん

ONOさん曰く、「僕の話はマニアックな内容が多いんで、好きな方からは評判良いです。そうでない人からするとあまり面白がられない(笑)」

今回のメンバーは皆さん生粋のサーファー、マニアック話はもちろんウェルカム!

ONOさんのお話でいつも以上にお酒がすすんでしまいました。

 

ONOさんのシェイプ話

序盤、ONOさんがシェイパーになるに至ったお話。

地元和歌山でサーフィンライフをスタートされて、その後千葉に移住。 

若い時分は、コンテストやハワイ修行などをまわるアスリートサーファーだったそうです。

 

怪我をきっかけにシェイプに興味をもたれ、一本目をいざ削ると「あまりの調子の悪さにジャガイモボードと言われちゃいました(笑)」

そのジャガイモボードが、とあるレジェンドシェイパーの目にとまり評価された事でモチベーションがあがり、シェイプをより一層勉強されたそうです。

「1000本以上削る頃には、スキルも身についてきました。」

「でもその過程で、例えば100本ぐらいで良い感じにできて少し天狗になる。でもその鼻をバッキリとへし折られるんです(笑)それを繰り返してきました。」 

ん~。身につけるスキルすべての過程に共通するものを感じます。

と感慨深くお話を聞きながら、何杯目かもわからないハイボールを口にする私。

 

 

そんなONOさんは、とにかく性能の良さを一番に置いて削るのがモットー。

特にロングボードでは、昔ながらのスタイルや海外の製法で日本人の体形や波に合っていないボードをよく見かけるとのこと。

ボード自体のスタイルを重視するあまり、性能を損なうような事にならないように手を加える部分は変えていくONOさん。

実際にシェイプしたボードに乗っている58さんやACOさんにも

「とにかく乗った感覚を教えてほしい。その感覚を踏まえて僕が形にします。」

「ボードオーダーの際も乗り手の情報は多いほうがイメージしやすいです。動画とかもらえるとより良い。」

この日も、お昼に福岡のサーフポイントで58さんとACOさんのライディングをチェックしてフィードバックを聞いていました。

ご自身のスタイルを貫きつつも、乗り手のフィードバックを柔軟にプラスしてくれます。

 

以前、ONOさんがシェイプしたロングの試乗ボードを乗る機会があり。

その際、素人ながらロッカーやコンケーブやレール処理など繊細に調整されている印象を感じました。

ご実家は和食の飲食店をされて子供の頃からお手伝いされたり、ご自身も飲食店で働かれた経験もあると話すONOさん。

「料理とボードシェイプって色々と通ずるものがあって、いい塩梅って言葉もシェイプに当てはまるんです。」

ONOさんのボックボーンを垣間見ると、あのボードから感じた繊細さに自然と納得します。

 

素晴らしいお話を聞きながら、私の手元はいつのまにかハイボールからワインに変わり終盤戦へと向かいます。

ボード点数のお話

そして、話は今年開催されたオリンピックの時の出来事へ。

千葉在住のONOさんは五十嵐カノア選手のお父様とボードについてお話されたそうです。

曰く、カノア選手は100点満点のマジックボードをブランドに求めてはなく、70~80点ぐらいのクウォリティのボードをムラなく仕上げてもらうようにしている。

ボードにはそこまでを求めて、あとは自分のフィジカルやメンタルを高める事でパフォーマンスを向上しているそうです。

出典:ISAオフィシャルサイト

よくサーファーの間で言われているマジックボードを100点満点とするならば、私達一般市民が乗るボードは通常60点もいけば良いほうなのか??

と酔いながらも考えているとONOさんが

「僕から見て20点ぐらいサーフボードに乗っているサーファーの方もいらっしゃる。」

「できる限りいい点数のボードにカスタマイズできるのは、ドメスティックブランドや日本人シェイパーの強みだと考えてます。」

 

日本の波質を熟知している事、細かいリレーションなどは確かにグローバルブランドにはできないパフォーマンス。

ここまで一緒にお話しさせていただいて、ONOさんなら高い点数のボードを作り上げてくれるのは想像できる。

 
うんうん。

ん…?瞼が重い。

まずい!と思い気付けに、いったい何杯目なのかわからないワインを口に運ぶ私。

ONOさんのお話が楽しく、つい気づくと飲みすぎていました。

ご自身はノンアルコールビールと炭酸水だけしか飲まれていないのに、トークだけでここまで酔わされるとは恐るべしONO氏。

この他、ボードリッター数のお話やグラッサーのお話など聞かせていただきましたが、それはまたどこかの機会でm(__)m

 

シェイパーと乗り手のコミュニケーション

58さん、ACOさん、ONOさん

ボードに対しての信頼がサーファーにとって重要なのは言わずもがな。

その信頼を高める要素として、シェイパーと乗り手のコミュニケーションはこれ以上はない方法です。

実際この一日を通して58さんとACOさんは、現在乗っているボードとONOさんとの信頼が深まっていました。

 

でも普通、直接シェイパーとコミュニケーションとれる機会に当たる事はなかなかできない。

では一般サーファーが信頼できるボードに出合う為にはどうするべきなのか??

 

ONOさんがシェイプに通ずるという料理で考えれば、料理人と食事するお客様。

直接のコミュニケーションが取れなければ、料理人と食べる方の両方をよく知る食通の存在が必要なのかな??

そうすれば良い塩梅のサーフボードに当たる確率は上がりそうです。

それをサーフィンで言えば、サーフショップスタッフやサーフィンに詳しいサーフメイトからの情報になりそう。

重要なのはボードシェイプ側だけでなく、乗り手の情報も周知しているアドバイス。

うん。答えはここだな!と考えながら帰り着いた家のリビングでストンと寝落ちしました。

貴重な夜の記憶を、なんとか呼び起こした備忘録はこれにて終了。

素晴らしい機会をいただきありがとうございました。

 




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